全国ライヴハウスガイド

日本全国津々浦々のライヴハウスに行って収集した情報をアーカイブ。

我々はなぜ遠征するのかそしてハマるのか



春休みといえば、遠征シーズン。
計ったかのように(いや実際計ってるけど)各バンドが新譜を出し、ツアーを駆け巡る、血湧き肉踊る季節の到来です。
個人的に自分の得意ジャンルでもあり、もう一生コレを止められないのかと思うと人間失格な自分がいやになる魔物、それが遠征。


<遠征のメリットとは>


東京でも観ておきながら、同じツアーをなぜ他でも観たがるのか。
チケット代よりも高い交通費を払ってまでなぜ観たいのか。
ましてや、学校や仕事を仮病使ったり、親戚を何人か殺したりして休んでまでもなぜ遠出するのか。
わかりますわかります、ごもっともな意見。
それにはもちろん理由があるのだ。だから止められないのだ。

●特別感たっぷりの地方ノリを満喫する

良くも悪くも地方はスペシャル。平日のド田舎で人が入らないガラッガラの残念なライヴだったとしても、メンバーの出身地で何だかもうファイナルかってぐらい盛り上がるライヴだったとしても、その日その土地にしか出せないライヴがある。
ありきたりだけど、やっぱりライヴは生モノだから楽しい。

●狭いハコで、近くで観れるという優越感

東京では取りにくいチケットも地方では意外とさっくりゲットできてしまったり、地方では驚くほど狭いハコで見れちゃったりするのが、何といっても大きなメリットでしょう。
必然的に前で観れる可能性も高くなる。
個人的に、東京での最前列なんてほんとわずかなもんしか経験ないですが、地方だとけっこういい確率で良番チケットが降ってくる。

●レアなモノが見れるかも、という密かな期待

「出待ち」「入り待ち」なんかもより低い倍率で楽しめるのが地方の醍醐味。メンバーと触れ合う機会が増えるということです。
交通手段の限られる地方オブ地方なところなんかだと、飛行機や新幹線、フェリー、はたまた飲食店などでバッタリ遭遇なんてこともけっこうな確率でありえます。
ま、そういうときはハタからひっそりと楽しんで、メンバーはそっとしておいてあげるのがオトナのマナー。

●当たり前だけど、ふつうに観光も楽しめる

個人的に、ライヴ&観光は最強にして最高のコラボだと思ってる。
というのも、たいがいの観光施設は16時、17時には閉まるわけですよ。寺社仏閣とか博物館とか。とりわけ田舎の夜は早い。となると、夜の時間を有効活用するにもってこいなのがライヴ。ごはん食べるには早いし、宿帰ってもやることないしなぁ的な夜の時間を有意義に、そして濃厚に過ごすことができるのがライヴなのです。
観光→昼は名産&名物で→観光→ライヴ→呑みも名産&名物で
というのが、個人的黄金スケジュール。たとえその前後が夜行バスであったとしても。いやーホントに最高よ? ライヴ見終わった後、地方のンマい肉やら魚やらをつつきながら呑むお酒は。


<いいコトばっかじゃないかも、遠征>

●遠征の懸念点をちょっと考えてみる

もちろん遠征はいいことばかりじゃないわけです。
人として社会人としてアレだとか、経済的な負担だとかはまぁ個人のリスクだとして。
実は何気に大きいのはバンド側へのダメージじゃないかと最近思ってる。
本来ツアーはその土地その土地のお客さんに観てもらうためのものだから、ノリが悪かったり、人が入らなかったり、はたまた自分たちのことをまったく知らない人たちもいたり、っていう逆境があって当然。バンドというものはむしろそれで鍛えられていくものなのです。東京であんなに盛り上がるのに、しょせんこの程度なのか!っていう厳しい現実を受け入れることでバンドは成長していくのです。
それが遠征のファンで各地がある程度埋まっちゃうと、バンド側がそういう危機感抱かなくなっちゃうだろうな、というのは容易に想像がつくわけで。勘違いしちゃうわけですよね。
バンド側ももちろん確信犯的な部分もあるとは思いますが。地方を確実に土日にぶつけてきたりとかね(ファンの年齢層が20〜30代の働き盛りの社会人だとこの設定が顕著)
応援しているからこそときには厳しくしなくては!と思いながらも結局、遠征欲に負けてしまうのですがね……。甘やかしちゃならんと思うのだけれど。